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超短編小説  108物語集(継続中)

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 あの怠い元上司からは青天の霹靂だ。
 このあまりの迫力に航平の足が震える。そんな時に、名前だけでも恐ろしい銀豹魔子さまが「君は深海航平だな」と名指ししてきた。
 航平はオシッコちびりそう。
 これはまずい。反射的にポケットに手を突っ込みチ○チ○の先っぽをギュッと摘まむ。これで気を沈め、「Yes, Ma'am 」と。

 すると銀豹魔子さまは仰られた。
「名前は深海航平とカッコイイが、要は会社組織の深海を彷徨うだけの、決して浮上できない潜水艦だな。本日より私直属のスタッフになりなさい、引き揚げてあげます」と。

 言われてみれば、まことに図星だ。勤続10年、最近このままで良いのかと不安も抱いていた。
 航平は頬を紅潮させ、「御意、粉骨砕身、精励恪勤致します」と宣言した。

 この言明から半年が経過し、枯れ葉舞う時節となった。
 航平はあの時以来一所懸命働き、自信も付いてきた。
 されどもそんなことより銀豹魔子さまには驚愕だ。
 知識は深く広く、主張はいつも超ロジカル。昼夜を問わず仕事しているようだが、疲労は見られず、いつも活き活きと。

 そんな働きぶりに、「食事と睡眠はどのように?」と一度訊いてみた。これに銀豹魔子さまは「特別食に、3時間よ」と答え、あとはハハハと高笑い。そこからは横道へとそらさず、「最近の子供の一番の興味は何か、明日の企画会議までに調べてちょうだい」と指示が発せられた。

 ここ半年で鍛わった航平、ビッグデーターやネット傾向を参考に徹夜で答えを出し、翌朝報告する。
「最近の子供たちの興味は未確認生物です」と。
「正解、まずはパンダ猫のおもちゃを提案しましょ、さっ、企画会議よ」と銀豹魔子さまは急ぎ歩き出した。