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超短編小説  108物語集(継続中)

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 多事多難な一日が今日も始まる。
 ただその前に好きなように心身を休めておきたい。まるでここはちょっと疲れた人生を生きる人間たちの万華鏡、そんな様相とも言えなくもないが…。

 しかしながらいつの間にか仲間意識が芽生え、今では暗黙のルール『干渉し合わない。不適合者は排除する。他言しない』を共有する通勤電車同盟へと進化したのである。

 駅に到着した。
 入口ドア付近はラッシュだ。しかし6両目後方は静かに発車を待つ。
 そんな時にこの通勤電車6両目同盟の中へとチャラい男が押し入ってきた。
 イヤホンからは音が漏れてきて耳障りだ。その上に音楽に合わせて朝から腰を振ったりしている。

 電車は発車した。
 しかし男の騒々しさには変わりがない。だからと言って周りの人たちは我関せずの態度。そんな時に男は迂闊にも爆睡中のお姉さんの足を踏んづけてしまった。
 美人スタッフはカッと目を見開き、一触即発の事態に。だが女性は動転することもなくバックから赤い札、いやレッドカードを出して高々と掲げた。

 ここからはあ・ら・らと展開していく。
 全員を守るように前方で陣取っていたちょっと陰のある兄貴がスルスルと男の後方に近付き、腕を首に巻き付けた。そして有無を言わせずぐいと締め上げた。

 男は5秒ばかり悶えたが、ガクッと落ちた。
 その後連結部へと引きずられ、捨てられた。あとはまるで何事もなかったように、電車は発車し、再び震動音だけの静寂が戻ってきたのだった。