超短編小説 108物語集(継続中)
朝のダイヤを終え、電車には回送の表示が掲げられた。
人気がなくなった車内を車掌が急ぎ足で点検していく。そして6両目後方の連結部で口にガムテープを貼られ、首にプラスチックの袋を被せられた死体が発見された。
百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事が急遽現場へと入る。
被害者の身元はポケットにあった免許証からすぐに割れた。定職にも就かず、たかりなどをしてプラプラと暮らす札付きの悪だ。
芹凛は首回りのあざをチェックしながら、「首締められた時はまだ生きていた。その後口にテープ貼られ、袋被せられ息絶えたようです。複数の者が関わった殺しね」と鋭い。
「犯行現場は満員の通勤電車内、目撃者は多くいるはずだ、さっ、スピード逮捕するぞ」と百目鬼は自信を滲ませた。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊