超短編小説 108物語集(継続中)
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私は小学校時代からアニメ大好きで育ちました。そして家庭を持ち、子供たちにもアニメを見せ、子育てして参りました。現在は子離れし、一市民として穏やかに暮らしております。そして最近は、歳を重ねたこともあってか、アニメより俳句に嵌まっています。
俳句は五七五のたった十七文字の世界。それでもそこに情景や情感が詰め込まれています。さらに言えば、侘び寂びの枯淡(こんたん)の趣があります。
そんな日本古来の美意識の文化、外国の人たちにどのように伝わっているのかと思い、それらの英訳を調べてみました。しかし、この侘び寂びの伝達は一筋縄で行かないようですね。
たとえば、――古池や 蛙飛び込む 水の音――
これは誰しも知ってる松尾芭蕉の俳句です。一見単純そう、ですが、読めば読むほど深い静けさに、水の音がしみ行くという、まさに静寂閑雅の境地に至らしめてくれます。
ならば、この句の英訳は…、如何に?
まず小泉八雲先生は訳されました。『Old pond - frogs jumped in - sound of water.』と。
されどこの単語〈frog〉は一般的なカエルです。俳句の蛙(かわず)はあくまでも古くから夏の季語とされてきたカジカガエル。すなわち日本の渓流などに生息し、美声で鳴く河鹿なのです。この概念がないとイメージは湧かないでしょう。
さらに先生の訳では、〈frogs jumped in〉と複数形ですから、解釈として何匹ものカエルがポチャンポチャンと飛び込んだということでしょうか。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊