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超短編小説  108物語集(継続中)

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 男二人が額を突き合わせ、アニメ月刊誌を読んでいる。
 一人はアニメ制作会社の社長、もう一人は企画部長。そして真剣に目を通しているページは、読者からの意見欄だ。そこへ秘書が入って来る。
「業界新聞の記者の方が投稿記事に対してのコメントを頂きたいと、今受付に見えてます。どう致しましょうか?」と指示を仰ぐ。

 社長は没頭し過ぎているのか顔も上げずに、「10分ほど待ってもらってくれ」と返し、あとはおもむろに首を持ち上げた。それから企画部長に、「まずは君の意見を」と鋭い視線を送る。

「社長、この投稿者の苗字は津暮瑠(つくれる)で、名前が可奈、続けて読むと、つくれるかな。ホント巫山戯た話しで、明らかに我が業界への挑戦ですよ」
 社長から意見を求められているにも関わらず、まだ対処方法が思い浮かばず、そのカムフラージュか腹立たしそうに答えた。社長も社長で、「猪口才な」とポツリと呟く。

 それでも暫くの沈黙後、この不愉快さを横に置き、二人は頭を抱えてしまうのだった。
 さて、ここまで会社トップを憂鬱にさせた投稿記事とは…。