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超短編小説  108物語集(継続中)

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 それから2週間が経ち、この二人の刑事は焦ってる。その息抜きにと、珍しく百目鬼がコーヒーを沸かし、芹凛にカップを手渡した。
 芹凛は一旦香りを嗅ぐが、目を閉じたままでいる。仕方ないヤツだなあ、と百目鬼は呟き、芹凛の耳元で、「薄い壁一枚の隣室、それがキーだよ」と推理の呼び水を試みる。
 これにハッと目を覚まされたのか、芹凛の仮説が吹き出す。

 その内容とは……、 
 宇砂戯は伊吹の当選金を横取りしようと、自分の部屋に誘い、毒殺。あとは雑木林に埋める。
 それを隣室から窺っていた炎、宇砂戯を部屋に呼び、絞殺。炎は隣室のオサムと共に宇砂戯を埋葬する。

 だが、欲に目が眩んだオサムに刺殺されてしまう。
 この悪魔の所業を全部見ていたのが、亜瑠だった。彼女は目立つことなく、大金を手にする方法を考えた。
 それは、まず伊吹の当選金を、各自のPC内にメモられていたパスワード等を使い、ネットバンキングで殺された女三人に振り分ける。

 そして掃除代として、三人から月10万円ずつ自動振り込みさせる、また結婚したオサムにも、家賃代を振り込む。これを生涯途絶えることがない利得にするためには、三人にはずっと生存していてもらう必要がある。

 そのため亜瑠は――すでに殺され、雑木林に埋められている三人に、ネット内で、現在も生きてるようになりすました。