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超短編小説  108物語集(継続中)

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 母が失踪した理由、幸吉は父に辛い思いをさせるのが嫌で訊いたことがない。また父も自ら口にしたことがなかった。そのため今も不明だし、この詩のような文章を読んでも理解できない。
 それにしても、屍となった娘とは……、俺には妹がいたのだろうか?
 そう言えば、赤子の泣き声を微かに憶えてる。
 謎はこうして深まり、幸吉は役場へと出向いた。そして戸籍に目を通し、判明した。

 母は夕月と言い、幸吉が四歳の時に離婚。妹は幸子、だが不幸にも一歳になる前に没。
 そして幸吉は目を疑った。それは二歳の時、〇歳の幸子と共にこの家に養子縁組されていたのだ。
 正直ショック、しかし、どこから?

 幸吉は一文字ずつ確認した。だが縁組み前の情報は何一つとしてない。その代わりに、二文字の漢字だけが目に飛び込んできた、不明と。
 結果、父母は他人だと知った。

 されども父は一所懸命育ててくれた。そしてこの宿まで残してくれた。父への感謝の気持ちは変わらない。
 しかし、俺は一体どこから来たのか?
 そしてなぜ妹は亡くなったのだろうか?
 その上、母は父と俺を捨て、なぜ逃げたのか? しかも詩人と。

 こんな疑問が幸吉の頭を巡り、眠れぬ夜を送ることになった。