超短編小説 108物語集(継続中)
ところで、運転手は誰?
確かにハンドルを握ってるヤツがいる。白い着物を身に纏い、額に白い三角の天冠(てんかん)を貼り付けてる。これは冥土へと旅立つ時に着る衣装だ。だけど、それって制服?
てな疑問もあるが、このオヤジ、ご丁寧に黒い帽子を被ってやがるから、笑えてくる。
一方乗客といえば、ぼんやりとした室内灯の中に、三、四人の影が見える。
さらに目を懲らすと、窓から景色を眺めてる女がいる。どんな女だろうかと窺うと、ガチンコに目が合う。その瞬間、おどろおどろしい形相で、女は赤い口紅を塗りたくった口をガバッと開く。身の毛もよだつこの女、都市伝説にある口裂け女なのだ。
こんな幽霊バス、これから一体どこへ向かおうとしているのだろうか? それは乗車した者にしかわからない。
さてさて、もしあなたが間違って幽霊バスに乗ってしまったら、死んでしまうのか、それとも生還できるのか、あなたのその後の人生を想像できますか?
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊