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超短編小説  108物語集(継続中)

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 こんな行動になってしまった切っ掛け、それは久し振りに浩二と旧交を温めている最中に、浩二が唐突に発した「美しい未確認女性がいる、一緒に発見しに行かないか」の誘いでした。
 学生時代、浩二はパンダ猫などの未確認生物同好会のリーダーをやっていました。それが今は未確認女性、こいつもちょっと成長したかなと嬉しくもありました。
 そして我が身は彼女いない歴三年、そろそろ新たな恋でもと願ってましたので、OKと答えてしまいました。それからです、浩二の饒舌が始ったのは。

 あれは五月の連休明けだったかな、俺は公園のベンチでのんびりとコンビニ弁当を食べてたんだ。そんな時に中年のご婦人がふらりと俺の所へやってきて、「稲瀬浩二さんですね。お母さんからの言付けがあります」と仰るのだよ。
 驚いたぜ、だって母親は三年前に他界したんだぜ。だけど俺は気を落ち着かせ、「母からの遺言だったら、話してもらえませんか」と頭を下げると、その女性が実に奇妙な話しをしたんだよなあ。
 最近話題になってるだろ、500光年先に地球によく似た惑星ケプラー186fがあると。そこの星人は風の民と呼ばれていて、一千年の昔に宇宙の風にひょいと乗って地球にやってきたとか。で、俺は……、その末裔だって。

 どうも母はいまわの際にご婦人に伝言したらしい。つまり俺は何にでもひょいと乗ってしまう風の民の血筋で、おっちょこちょい。だから、何か予感がする時は行動を慎みなさい、と。
 だけど、そんなこと突然訓話されても、どうして良いのかわからないだろ。それで頭を抱えてると、ご婦人が言うんだよ――竜宮城に行きなさいってね。
「竜宮城? そんなの海の中で、行けるわけないよ」
 私はバカバカしくなりました。しかし、浩二は私の反撃に怯みませんでした。