超短編小説 108物語集(継続中)
『親からもらった命、粗末にするな!』
ここは青木ヶ原樹海、その登山道の分岐点にこんな看板が掛かってました。
「自殺しに来たんじゃないよな」
浩二に確認すると、「直樹、お前はバカか」と否定され、私はホッとしました。
それにしても重なり合う樹木のせいで鬱蒼とし、とんでもなく蒸し暑いです。その上に、磁鉄鉱の溶岩だらけで磁石は使い物にならず、方向を見失います。
こんな危険な所に踏み入ってしまった浩二と私、果たして無事に帰還することができるのでしょうか、不安です。それでも赤い紐を枝に括り付け、樹海の奥深くへと入って行きました。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊