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超短編小説  108物語集(継続中)

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 現役から退いた凛太郎、妻の麻伊のお膳立てに半強制的に乗せられて、高台にあるこの小さな家に移り住んだ。それでも終の棲家だ。
 リビングは階下、そして寝室は二階にある。そのため、ベッドに潜ってはいるが、かなり空に近いことは間違いない。

 ピカピカ、ドカーン。電光と轟き、どちらが先かわからないが、いわゆる雷轟電撃(らいごうでんげき)の勢い。
 凛太郎は身を縮込ませ、桑原桑原と、ここに至っては呪文を唱えるしかない。そして後はどうにでもなれと布団を引っ張り上げ、頭まで被る。まるで蓑虫(みのむし)だ。
 されども呪文の甲斐あってか、事態は急変。雷は遠くへと去り、あとはザアーと滝のような雨が頭上の屋根に、いや近所一帯に降り始めた。

 それにしても、家が流されるかと思うほどの雨。しかし、その雨音を聴いていると、どことなく心地よい。蓑虫って、いつもこんな気持ちなんだろうなあと、まことに無価値な想像を巡らせてる内に、また眠りへと落ちて行った。