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超短編小説  108物語集(継続中)

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 長年の刑事の勘か、百目鬼は読後どことなく仕組まれていると感じた。そこで上司の許可を得て調べてみると、驚愕な事実が判明した。

 ほぼ一年に一度、合縁奇縁荘の泊まり客が首吊り自殺をしたり、崖から落ちて死亡する事故を起こしていたのだ。しかも、良からぬことの証拠をすべて流してしまうためなのか、激しい雨が降る日に起こっていた。
 一体これはどういうことなのだろうか?
 百目鬼と芹凛は現地へと飛んだ。まず温泉宿の主人と女将に会った。そして彼ら二人は証言した。前夜、自宅の奥さんから花坂に電話があった、と。
 この件はすでに花坂宅の固定電話と宿との間の通話記録で確認されている。これにより妻のアリバイは証明された。

 だが、仮面夫婦であり、花坂の死亡後、妻が多額の保険金を受け取ったことを百目鬼たちは知っていた。
 調査をまだ諦めるわけには行かない。当然、百目鬼と芹凛は鶯橋と天魔堂の現場確認をする。
 川には大きな岩がゴロゴロとある。橋から落下すれば、少なくとも瀕死の重傷は負うだろう。また天魔堂の三尊は手入れ良く祭られていた。宿の夫婦が面倒みてるのだろう。

 そして偶然出会った木こりに聞き込みをすると、男は驚くべきことを話す。
 噂だが、合縁奇縁荘には――特別料金がある、と。それ以上のことは口をつぐんだ。