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超短編小説  108物語集(継続中)

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 ゆるりとホールでのパーティは終わり、いよいよMirai号の発射だ。10、9、8とカウントダウンが進み、ついに3、2、1、ゼロ! ロケットの後尾から赤い炎が噴き出す。さあ、白鳥座のブラックホールへと旅立ちだ。
 この様子を窓から見ていた阿賀晋介、感慨深いものがある。そこへ記者仲間の週刊誌・人生いろいろの古泉純子がふらりとやって来た。
「私たちの祖先は原発ゼロと再開で意見が食い違ったようだけど、300年経った今、ブラックホールが最終処分場になるなんて、ご先祖様も草場の陰で驚いてるでしょうね」

 これに、近くにいた月刊誌・乱心の細永熙樹が「300年前に、このプロジェクトの実行を宣言していたら、俺の先祖も殿ご乱心なんて言われなかったかもなあ」と唇を噛む。

「みんな国を思い、必死だったのよ。だからご先祖を恥じることはないわ」
 こう横槍を入れてきたのは生活誌・箸と茶碗の多父神俊子。いつも強気で、一点の曇りもない。この言葉で、阿賀晋介も古泉純子も、そして細永熙樹も吹っ切れたのか、笑みが戻る。

 そして、いつの間にか輪に加わっていたウチュ官の須賀が高らかに、「放射性廃棄物を満載した無人Mirai号が、無事ブラックホールに吸い込まれることを祈念し…」と。その後の言葉を埋めるかのように、全員が「乾杯!」とグラスを高く上げた。