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超短編小説  108物語集(継続中)

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「おいおい、君、これは何なんだよ?」
 ここは首相官邸、国家プロジェクトの提案書『ブラックホールを廃棄物処分場に』、この概要を読んだ総理大臣が目を丸くする。
「実は公募でして」と書類を手渡した官僚に汗が噴き出る。だが、興味を持った首相、「提案者は?」と問うと、官僚は「高見沢一郎っていう貧乏サラリーマンでして…、要は暇なんでしょうね」と素っ気ない。
「しかし、このアイデア捨て難いですね。一度官邸に呼んでもらえませんか?」

 こんな経緯で、ある日、チャンチャラ、チャンチャラ、チャーンチャン、高見沢の着メロが鳴った。それは首相官邸からだ。
「ご提案、もう少し詳しくお聞きしたいと総理大臣が仰ってます。一度お越しください」
「イエッサー!」 もちろん高見沢に断る理由なんてない。やっと俺も世の中の役に立つ時が来たか、と。


 ここで高見沢は缶ビールをグビグビと。
「こんな、今宵のSF風妄想、ここまでが限度だ、ホント疲れたよ」
 単身赴任中の高見沢はよっこらせと立ち上がり、ヨロヨロとシャワーへと向かう。

 その背後には──放射性廃棄物、あなたの提案は?──というフリートークTV番組が放映されていたのだった。