超短編小説 108物語集(継続中)
約300年前、東日本大震災で福島原発は壊滅した。安全神話は崩れ、原発ゼロを目指すこととなった。だが、コストやCO2削減の観点から他エネルギーへの転換はそう簡単ではなかった。
結果、放射性廃棄物の最終処理方法が確立されないまま、原子力発電所は順次再開されて行った。とどのつまり放射性廃棄物は行き場を失い、日本国土に積み上がってしまったのだ。
あれから300年、やっと究極のゴミ処分場が見付かった。そう、それは光さえも飲み込んでしまうブラックホール。地球上の放射性廃棄物なんて宇宙レベルで考えれば微々たるもの。そうだ、そこへ捨てれば良いのだ! と人々は目覚めたのだった。
こうしてプロジェクトが始動し、まず巨大ステーションを宇宙空間に浮かせた。そして地上の放射性廃棄物を安全に移送するため、宇宙エレベーターを地表面から立ち上げ、繋げた。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊