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超短編小説  108物語集(継続中)

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 30年前、確かに四人一緒だった。そして奇妙なことに、二つの三角関係が同時進行していた。その一つは亜矢に対し男二人の組み合わせ、もう一つは祐也に女二人。要は祐也と慶太は亜矢にメロメロ、そして亜矢と洋子は祐也に首ったけだった。

 そんなある日、慶太はチャンスを得て、亜矢をディナーに誘った。待ち合わせ時間通りに亜矢が時計台の下に現れた。慶太が駆け寄ろうとすると、なんと既に祐也が亜矢の前に立ってるではないか。
 あっと言う間だった、亜矢は祐也に肩を抱かれ、どこかへと消えて行ってしまった。慶太はただ呆然と見送るしかなかった。

 そんな時に背中を突っつく者がいる。慶太が振り返ると、「鳶に油揚げさらわれたのね。私が代役してあげる。だからご馳走してちょうだい」と、洋子が涙を浮かべてる。これで慶太は、二つの三角関係は同時に終わったと確信した。
「ヨシ、恋に破れた者同士、美味しいもの食べて、元気だそう!」
 慶太は今にも涙を零しそうな洋子の手を取って、ちょっと奮発し、高級焼き肉店へと誘った。これが切っ掛けとなり、二人は急接近。意外にも一緒にいると気が安らぐ。相性が合うということなのだろう、恋の敗北者同士でも永遠の愛を誓う急展開となったのだ。