超短編小説 108物語集(継続中)
しかし、人生とは可笑しなもので、こんな謎めいた再会でも、一つ屋根の下で暮らすと、ひょっとすれば百花は――以前、俺の女房だったのでは、と思えてくるから不思議だ。
その結果、元妻と名乗る百花に家も貯金も牛耳られ、女の指示に従って、デートレでなく畑仕事で汗を流す。挙げ句の果てに、電動チャリンコを買い与えられ、下界へと働きに出される日々となってしまった。
この家で一人のんびり暮らそう、こんな当初の夢から一転した。だが、翔平はこれを苦痛と思わない。それは百花との生活が愉快で、心潤わせてくれるからだ。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊