超短編小説 108物語集(継続中)
2020年、人間社会の終焉。強いて言えば、人類の滅亡。
確かに、その兆候は身近な所から始まった。例えば、譲二がPCでレストランを検索していたら、ブツッとダウンした。またネット証券で株の売買取引中、突然のフリーズ。こんな現象はなにもPCだけではなかった。スマホやアイホンも同じことが起こり始めた。そして、この事態は世界中の誰しもの電子器機に起こり始めたのだ。
当然、世間は大騒ぎとなり、クレームの矛先はネット企業にまず向かった。だが解決の糸口は見つからず、この混乱の状況は逐次熱く報道された。それでも時間だけは流れ、問題はさらに拡大し深刻さを増して行った。
そしてオリンピックの前年の2019年、ついにリニアモーターカーのダイヤやフライトの発着が狂い始めた。要はコンピューターに頼る運行システムが機能不全に陥ったのだ。
当然、人々には恐怖心が。政府はこんな国民の動揺を懸念し、非常事態を宣言した。
そして年が明け、2020年、東京オリンピックが開催される年だ。アスリートたちが様々な競技で活躍し、希望と力を与えてくれるはずだった。
しかし、この期待を打ち砕くメッセージが元日に、TVやウェブ上、果ては街角の掲示板までにも配信された。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊