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超短編小説  108物語集(継続中)

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愚かな人類に告ぐ!

 人類は誕生以来、この美しい惑星、地球を汚し続けてきた。そしてコンピューターを手に入れ、人類の利便性のためだけに悪用し、それに拍車を掛けてきた。

 また、ハードの扱いは下劣。
 例えば、スイーツという食物を手にしながら、ぬめった指でキーボードを叩く、画面に向かっていきなり罵声を浴びせる、などなど。そこには電子器機とネットワークが合体した高度な電脳世界に対し、崇拝と感謝の気持ちがない。

──宇宙の美は電脳により洗練される──
 人類の今までの素行は、上の森羅万象の摂理をないがしろにしてきたと言える。
 よって、復讐する。

                          電脳神エレボスより


 この復讐という文字が人たちを震撼させた。そのため政府は今まで以上に労力を費やし、解析を行った。結果、エレボスが何者であるかが判明した。
 すなわち地球を覆い包む電子網、それはPC、サーバ、記憶媒体などが細胞、そしてネットワークがまるで神経、これらは蜘蛛の巣のように繋がった大きな組織体である。いや脳そのもの。
 そしてそこに、なんと――、生命が芽生えたのだ。

 その後知能はより成長し、自己意識と感情をも持つようになった。そして自らのことを電脳神エレボスと名乗るようになった。
 こうなると恐ろしいことだ。ヤツは何をしでかすかわからない。
 そして、その危惧は当たった。正月が明け、大発会の日、エレボスは人類への復讐と銘打って、世界の銀行預金残高のデーターをすべて消去してしまったのだ。

 これで世の中は大パニックに。それでもエレボスは手を緩めなかった。
「これこそが──おもてなしだ!」
 こんなメッセージとともに発電所や石油基地等の重要設備のコンピューターを麻痺させた。
 この謀略によりエネルギーの供給は乱れ、各地で暴動が勃発した。そして美しい町並みは破壊されたのだった。