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超短編小説  108物語集(継続中)

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 彼女いない歴三年の颯太、もうそろそろ新たな出逢いがあっても良いはず。ここはチャンスだ。
「ロマンチックなお話しで感動しました。その風に乗ってやって来る人って、案外私だったりして。いかがでしょうか?」
 思い切って売り込んでみた。

 するとどうだろうか、女性は「白馬の王子様じゃなくって、汗臭そうなジョガー、だったの? うーん、意外にそうかもね」と微笑んだ。これで颯太は空に向かってガッツポーズ。
 それでもこのレディとは初会話、またお会いしましょうと約束し、元来た川沿いの道へと走り帰った。

 こんな出来事から一週間が経った。颯太はどことなく人恋しい。よくわからないが、どうもあの女性ではない。別の誰かを待ってるような……。
 とにかく逢いたい。そんな思いは日々強くなり、もう気持ちをコントロールできない。そして事もあろうか会社に長期休暇を願い出て、あの公園のベンチで待つこととした。

 一目惚れした黒髪の女は二度と現れなかった。しかし、颯太はそんなことはもうどうでも良い。それよりも、きっと風に乗ってやって来る人、その誰かに逢いたい。