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超短編小説  108物語集(継続中)

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 そんな場面に、今度は青と緑の爬虫類色の服を身に纏った彩子が部長の前をヌラリと。悪代官の好みはミエミエでマニアック。「今夜は木っ端どもと祝いだ。アヤちゃんも参加してくれるだろ」と強引に声を掛ける。
 これに彩子は「この茶坊主もご一緒してくれるの? いたぶって差し上げるわ」と、幸司に冷たい笑みを送る。やっぱりこの女は気色悪い──『七色トカゲ』だ。

 そして、こんな込み入った所へ、まるで七色トカゲを踏み潰すかのように、『イッチョカミ』の新蔵が「面白そうですね」と無理矢理噛み込んでくる。

 さらに、この展開を遠くから窺っていた後輩の孝史が――いきなり駆け足に。
「ボーナスが上がるらしいですよ!」と、いい加減なことを言いふらしている。まさに『狼少年』を地で行くヤツだ。

 だが、それだけでは終わらなかった。
 孝史がデスクの間をすり抜けようとした時、スタッフの麻美が待ってましたとばかりに突然立ち上がる。孝史にとってはアクシデンタリーに、麻美のヒップに手が触れてしまう。

「ア〜タ、今触ったでしょ。これ、セクハラよ」
 こんなドツボに嵌まってしまった狼少年、あーあ、また始まったかとあきらめ顔。なぜなら、麻美は自らマッチで火を付けて、あとは自分の都合良く、ポンプで火を消す、いわゆる──『マッチポンプ女』なのだ。
「孝史君、セクハラ委員会に訴えるからね。わかってんの」
 麻美の責めが止まらない。狼少年はオロオロするだけ。そこへ間髪入れず横槍が。
「まあまあまあ、お二人さん、ここは穏便に。そうだなあ、このセクハラ疑惑を解決するために、三人でランチしよう。もちろん孝史のおごり、でだよな」

 マッチポンプ女のカツあげに割り込んできたのは、いつもカラッケツな……、そのためタカリで揉め事を解決しようとする係長の『銭なし平次』だ。
 これに息を合わせて、麻美が「高級ランチで、シャシャンのシャンよ」と手をたたく。明らかに麻美と平次、グルッてやがるの。

 そして、この一部始終を見ていた悪代官が雷を落とす。「組織を乱すな!」と。