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超短編小説  108物語集(継続中)

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「10%の売り上げ増です。これは私の率先垂範の結果です」
 洋一の上司、高木部長はこう社長に報告した。そしてニンマリと。
「どこがだよ! 全部俺が汗水流して……、俺が頑張った結果だよ」
 洋一の不平が吹き出す。されどこんなことはいつものこと。この高木野郎、『悪代官』の汚名通り、部下の成果は容赦なく取り上げ、自分の失敗は部下に押し付ける、とんでもない上司なのだ。

 それでもこんな悪代官に、揉み手をしながら近付くヤツがいる。それは洋一のライバル、同僚の幸司だ。
「まったく部長のお陰です。みんな喜んでます」
 これが、最近外回りが増えて、やってられねぇよ、とぶつくさ文句を言ってた同僚の言葉か? 洋一は耳を疑った。まったく嫌な『茶坊主』だよ! と苦虫をかみつぶす。