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超短編小説  108物語集(継続中)

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 美月はバリバリの営業スタッフ。その垢抜けした振る舞いは都会の風景に似合っている。だが今、この山奥にいる。この落差に、大輝は再びポカーン。
 その代わりに村長が「この子はね、自己中の神の娘だよ」と口を挟んだ。

 何にせよ、大輝はトイレの神さまを知っていた。けれども自己中の神さまとは?
「どういう神さまですか?」と恐る恐る村長に尋ねてみた。すると横から美月が自信たっぷりに、「周りを幸せにする女神よ」と。
 大輝はここで、なぜかメッチャ自己中の上司を思い出し、「周りが幸せになるわけないだろ」と美月に突っ掛かってしまった。

「まあまあまあ、若いの。この娘が言う通りじゃと思うが、村長としては、美月の神力が本物かどうか確かめねばならぬ。そこで相談じゃが、美月を嫁にして確認してもらえぬか?」
「えっ、美月を──、ヨメに? それって、早い話が、自己中女の実験台になれってこと?」
 大輝は面食らってしまった。だが、それだけで終わらず、「従わなきゃ、一生貧乏神が張り付くかも」と脅しが入った。そのあと福の神からの口上が一つ。
「美月ヒメノミコトは自己中、じゃがアゲマンで、出世デキ──カシコミカシコミ、モヲース」

 えっ、アゲマンに出世、若い大輝にとって、なんちゃってもキラキラワード。あとは見事に舞い上がり、大声で念じてしまう。
「ミョウトになりた〜い!」