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超短編小説  108物語集(継続中)

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 その夜、魔美はこのいけすかない係長をビルの隙間へと招き入れ、そこを通り抜け、大通りへと連れて行った。

 しばらく待つと、西の方角から妖怪たちが行進してきた。
 二人の目の前を、人を食らう山姥(やまんば)、鎌のような爪で切るつける鎌鼬(かまいたち)、麗女に化けた絡新婦(じょろうぐも)といった妖怪たちがおぞましい姿でぞろぞろと歩いて行く。
 他に、濡女(ぬれおんな)に提灯お化け、砂かけ婆にお歯黒べったり等々の魑魅魍魎がとにかく行進して行く。まさに圧巻だ。

 これを目の当たりにした高木係長、身の毛がよだつ以上に熱狂している。こんなスクープは新人には渡せない。こう思ったのだろう、ついに列に加わり歩き始めた。

 そして一夜が明け、魔美はいつも通り出勤する。だが係長の姿がない。ニュースによると大通りで心臓発作を起こし、死亡したとか。
 この悲報を知った魔美、フフフとうす笑い。