超短編小説 108物語集(継続中)
亮介には妻と子供がいる。そして阿沙子にも主人と多感な娘がいる。それでも二人は互いの肉体を絡め合わせる仲だ。いわゆるダブル不倫、そのせいか世間にも会社にも負い目がある。
だが、そんな事態にも関わらず、もっと深刻なのが闇カルテルの使い走りになってることだ。二人の行状が暴かれれば、鉄格子の中となる。
退職も考えた。だがそれは会社にとって狼を野に放つようなもの。きっと引き留めるだろう。それでも辞めれば、消されるかも知れない。
他の道は二人の関係を絶つこと。これは会社にとって二人の価値は無となる。あとは飼い殺しの窓際に。
いやむしろ、まんまと嵌められた男女の腐れ縁、二人ともこれに馴染み過ぎた。自らこの縁を断ち切ることができないのだ。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊