誰かたすけて ショート3つ
『てけすたか誰』
泣いてはいけない そう思った
卑怯だから
でも 止められなかった
「もういい、、わかったから、、、」
そう彼に言ってから何時間が経ったのか
会わない方がいい そう思った彼が今 目の前にいる
会わずにいられない
この気持ちは 恋なのか それとも
数回 関係を持った
彼も同じ気持ちだと思っていた だから許したのに
今更何を言おうというのだろう
何のためにここにいるのか
雲を眺める彼の目が遠い
立ち去りたい
そんな想いが伝わる
水面を打つ糸が波紋を広げ 虚しさが心に広がる
手繰り寄せられる糸の小さな波のように
彼の心を惹きつける事はもうない
肌を合わせても 心を合わせる事は出来なかった
同じ景色を同じ想いで見ていると思っていたのに
風の流れは 一つの場所を目指しているようで
目に見えない所へ向かっていた
油絵に描かれる幾つもの線のように
心に写ればよかったのに
好きだから、
その言葉にも
ただ 逃げたいだけの陰が見える
好き、なんて曖昧な言葉
移りゆく季節のように
刻々と形を変える雲のように
人の心はうつろひやすく なんと脆いものなのか
彼の横顔を目の端にとらえながら
自分の姿をひややかに見つめる
もう一人の自分がそこに居た
作品名:誰かたすけて ショート3つ 作家名:夢眠羽羽