神話
神話3
1
昔、隣同士で仲の悪い二人がいた。ことあるごとに二人は喧嘩した。お互いに、こぶしで殴ったり、目潰しをくらわせたり、平手で殴ったりした。だが、暴力的に喧嘩をするのは、疲れるし痛いし問題は解決しないので、二人はひとつの解決案を考え出した。それは、互いに同時に、こぶしで殴るときの手、目潰しをするときの手、平手で殴るときの手を出すことで、それらの間に優劣をつけて、争いを解決することである。こうして二人は、争いを低コストで解決することができるようになった。これがじゃんけんである。
2
昔、あらゆる液体には味と色がついていた。地域ごとに味や色が決まっていた。だが、甘い液体を飲む住民は怠けるようになり、苦い液体を飲む住民は怒りっぽくなり、赤い液体を見ている住民はやかましくなり、青い液体を見ている住民は憂鬱になった。それですべての地域を統べる王は、何とかこの液体の悪影響を除けないものかと苦心した。そしてあるとき、すべての液体を混ぜることを試みた。すると、すべての味と色は互いに反発しあい、液体から飛び出して、絵の具や砂糖などの固体になった。こうして無味無色の液体が生まれ、住民への悪影響はなくなった。こうして水が生まれた。
3
昔、ある国で、過去の偉人を称えるために、偉人の顔入りで偉人の業績が書いてある板が大々的に作られた。板には丁寧な装飾が施され、番号が振られた。その板の美術的な完成度は高く、それと大量の食料を交換してほしいという人も現れた。そしてその板を得た人は、それに飽きると、今度はそれを欲しがっている別の人に、布と交換に渡した。こうして、その板は、財物との交換にあたって使われるようになった。そして、次第に板の代わりに紙が使われるようになり、また偉人の業績の部分は印刷されなくなり、代わりにその価値が印刷されるようになった。こうして紙幣が生まれた。