The Evangelion -missing link-
逡巡の後、少年のタイミングの悪さと運のなさを自分がフォローしてやるのだと言わんばかりに深々とため息を吐き、傘を広げながら外へと一歩踏み出した。
途端に重量級の雨粒が、その勢いで押さえ付けられそうなほどの激しさで傘を叩く。
地面に、水溜りにはじけて散る。
数十メートル歩いた頃には、もうアスカのスニーカーの中には水が沁みてきていた。
足元が濡れるのは覚悟の上だったのだろう、水溜りを避けはするものの、足にかかる雨垂れや飛沫は気にせずに進む。
全てが灰色に塗り潰されたような錯覚に陥る光景の中で、彼女の傘の赤だけが鮮やかに揺れる。
傘がくるくると回る。
駅まではおおよそ二十分。
シンジならば暫く待って雨が止みそうになければ、よほど濡れてはまずい荷物がない限り歩こうとするだろう。
どの道この天気なのだから買い物などはできそうにない。
行き違いになる可能性は殆どない事を予測して、アスカは足を速めた。
作品名:The Evangelion -missing link- 作家名:*咲神トト*