The Evangelion -missing link-
「け、携帯落としたの?ちょっと見せて」
「……ない」
僅かに揺れた頭は、顔を横に振ったということなのだろうか。
折れた傘を見つめながら、アスカは無表情に呟く。
「ない?」
「……落とした時にどっかに流された」
「……」
段々とシンジの方がやるせない気持ちになってきた。
怒りをぶつけようにも原因となったその車と運転手はどこかに走り去り、自分は携帯電話を落として傘は折れ、濡れ鼠。
怒りなど通り越し、虚しさと悲しさだけだったのかもしれない。
どのみち、もはや自分のために持って来た傘をさす気にもならなかった、という事なのだろう。
作品名:The Evangelion -missing link- 作家名:*咲神トト*