The Evangelion -missing link-
エピソード・1 Melancholic rain
アスカ、シンジ。ミサトさん。
シンジ視点エピソード。
とある雨の日。憂鬱な雨は降り続く。
厚く垂れ込める雲の中に光が走る。
そんな空をぼんやりと見つめながら、アスカはリビングのテーブルに臥していた。
あまり本物を目にした事のない雷を、光るたびに数えてみる。
誰もいない家の中、一人でただ時間が過ぎるのを待つ。
本当はあと一匹いるのだが、彼女の様子に警戒したのか、リビングに近づこうとすらしない。
家主はとうの昔に職場へ向かった。
そして彼女の機嫌がかなりの急角度で斜めに傾いている原因の、肝心なもう一人は……。
ばん!
テーブルを叩いた音が響き、ダイニングでペンペンがびくりと顔を上げる。
恐らくそれも繰り返し行われた事なのだろう、リビングにぴょこりと頭を突き出すとそこにある光景を確認してすぐに引っ込んだ。
再び空が光る。
今までで一番強い光が煌き、間を置いて大音声が轟く。
アスカは立ち上がり、窓の側まで来て耳を澄ました。
そんな事をしなくとも煩いほどに耳につく雨音。
天気予報では今日の降水確率は三十パーセントだった。
降水確率は所詮確率であって、低確率の時に降る雨が激しくない訳ではない。
作品名:The Evangelion -missing link- 作家名:*咲神トト*