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リーンカーネーション・サーガ

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「えーーそれでは、メアリ様・・でよろしいですか?」
メアリはにっこり笑い「はい、これからよろしくおねがいしますね。リオンさん。」
と手を差し出してきた。
王族から家臣に対して握手を求めることは、この国、いやこの世界で聞いたことがない・・・
でも私はとっさに手を差出し、メアリ様の手を握り返していた。
不思議な人だと思わずにはいられなかった。

そんなやり取りをしていると、パタパタと屋敷の奥からかけてくる数人の人影が見えた。
「メアリ様〜、私がお出迎えしますから!
お願いしますから、私達、使用人より先にお客様の応対をしないで頂けませんか〜」
と息せき切ってメイドの女性二人と、執事と思われる初老の男性が走ってきた。
「そうですぞ!
メアリ様!
エルウィン王国王妃ともあろうお方が直々にお客人の対応にお出になるとは!
爺(ジイ)は嘆かわしゅうございます!」
と赤い髪のメイドと黄緑の髪の初老の男性が交互に言ってきた。
ちなみにもう一人のメイドなにも言わずついづいしている。
「まあ!だってせっかくリーンの為にいらしてくれたんだから、待ちきれなかったのよね。」
と悪びれもせずに笑顔で使用人達に応対している。
するとメアリ王妃は振り返り私に
「そうそう、リオンさん、紹介しますね。
うちでお手伝いして頂いている人たちです。
こちらの男性は、執事の「アレクシア」」
すると男性は、綺麗な隙のないお辞儀をした。
つづいて赤毛の女性に手を向け、その隣の青い髪の女性もつづけて紹介する。
「こっちの女性二人は、メイドをしてもらっている「アメリア」と、「シア」よ。」
すると女性二人はそれぞれ、お辞儀をしながら、「アメリアです。」「シアです。」と名乗った。
私は、再び腰を折り、礼をして名乗った。
「私は、「風雷騎士団」のリオン・ウィード・ヴォルタールです。
このほど、リーン・ウォーター・ペンドラゴン王子殿下の側近及び教育係りの命を受けて参りました。
皆様、これからよろしくお願いいたします。」
すると、執事の男性が、
「リオン様、私ども使用人にそのようなかしこまった挨拶は不要です。
われわれこそ、今後ともよろしくお願いいたします。」
と返してきた。

そんなやり取りを見ていたメアリ様は何か思いついたように
「そうだ!リオンさん!
朝食まだでしょ!
是非食べて行ってくださいな!
うちの「シア」の料理はとってもおいしいのよ!」
と言ってきた。
すると名指しされたメイドが
「うん。料理には自信があります。」
と無表情で答えた。
私は慌てて、
「本日は、メアリ様とリーン様にご挨拶にお伺いしただけですので、そのようなお気遣いはしていただかなくても・・」
と語尾が消えかける途中で、メアリ様が
「良いじゃありませんか。
最近、お客様も来ることが無くて退屈してたのよ。
騎士団のこととか最近の城下のこととか聞かせてほしいわ。」
と言ってきた。
私は少し考え、離宮に閉じこもりっきりで、かなり退屈しているだろうと感じたので、
食事をご一緒することを了承した。
「わかりました。私の知っている事でよければ・・・
あまりご婦人が興味がある話はありませんが・・・」
と少し、言いよどむと、
「ほんとうですか!
わー城下とか、全然でかけられないから楽しみだわー」
と嬉しそうにはしゃいだ。
私は苦笑し、メイドと執事に案内されながら食堂に向かった。

私は、食堂に案内される途中、どうしても、王子に先に挨拶してから食事をとりたい事を伝えた。
メアリ様は、快く了承し、王子が寝ている、ご自分の寝室に案内した。
メイドが慌てて、王子をお連れしてくると言っていたが、すぐに済むからとメアリ様に押し切られていた。
寝室に到着し、リーン王子を見た瞬間、私は解っていたこととはいえ、驚きを隠せずにいた。
話に聞いていた通り、リーン王子は「無色」だった。
本当に、まったく、魔法属性が無いのか確かめるべく、
近くまでいき、挨拶をしながら観察する・・やはり魔法力による圧迫感は感じられない。
魔法力がある子供は、子供であるがゆえにコントロールが出来ず、魔法力を放出する為、
圧迫感のようなものを感じるものだが・・
そういったものは感じることが出来なかった。
だが・・逆に自分の魔法力が減った気がした・・ような違和感があった。
しかし本当に、髪も肌も抜けるように白い、顔はメアリ様似でとても可愛いらしい、とても男の子には見えなかった。
私は、こんなかわいらしい子供をもしかすると殺すことになるかもしれないと思うと気が滅入った。


[ルール・スペース(Rule space)]

ここに来てから半年がたった。
僕は今、3、4歳児ぐらいの大きさまで成長している。
やはり、この世界の人間の成長は自分の知っている世界の人間の成長よりかなり早いようだ。
言葉もだんだん理解し、片言なら喋れるようになってきていた。
どうも、文法的には、英語に似ているようだ。
文字もどことなくアルファベットに似ている。
読み方はかなり違うようだが・・・
母親と思われた人は、やはり、「母」であった。
名前は「メアリ」、性は「ウォーター・ペンドラゴン」
予想道り、王妃のようだ。
自分はやはり王子で四番目の王子。
名前は、「リーン・ウォーター・ペンドラゴン」。
腹違いの兄が3人いることがわかった。
未だに見たことが無いのが不思議だが・・・
腹違いの兄弟とはそんなものかとも思った。
後、それにもまして、父王の「エリック・ウォーター・ペンドラゴン?世」に全然会わない・・
いくら四番目の息子だからって全然会いに来ないのは不自然に感じた。
そして、メイドが二人「アメリア」と「シア」、執事が一人「アレクシア」さん。
後、剣の先生だという青年「リオン先生」がいる事がわかった。
今日は、その「リオン先生」から初めて、剣を習う為、手に小さな木刀を持っている。
この世界では、騎士や魔法師を目指す子供は、5歳で「ペイジ」という見習いとして「魔法学院」に入り、
13歳で卒業後は、「エクスワイア」という従騎士として騎士に使えるか、さらに上の学校である「魔法剣術学院」か
「魔法師学院」に進んで、従士とならずに騎士爵や爵位を目指すらしい。
王家の者は従士とならず「魔法剣術学院」に進むのが常識らしい。
それにしても、生後半年の子供に剣を習わせるのはあまりに早すぎだと、母や執事達は、「リオン先生」に
抗議していた。
本来なら早くても3歳、遅ければ5歳の「魔法学院」に入学してからということらしい。
これは、僕は後から知ったのだが、「リオン先生」は僕に早く身を守るすべを身に着けてもらいたかったらしい。
子供相手にするにはかなり厳しい指導だと感じた。
ここでの剣術は、自分が知っている剣道とはかなり違っていた。
剣だけでなく、蹴りや掌底や組技まである、本当になんでもありの実戦重視の剣術だった。
リオン先生の生家は、魔法剣術に長けているとのことだった。
魔法剣術も基本の剣術が出来てこその「魔法剣術」とのことで、みっちり、しごかれた。
だが、僕は、その稽古の中で、元の世界では感じなかった体の軽さを実感していた。