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リーンカーネーション・サーガ

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幸い・・と言うべきか、メアリ様のご配慮でお前の事は、カストラートに連絡済みのようだ。
今は、カストラートへの避難がもっとも良いと思う。
身の振り方はそれから考えても遅くはないだろう?」
と優しく言ってきた。
そして、リオンに向き直り、
「リオンよ!
これから、近衛も含めた隊の招集をかけるが、お前の部隊はリーンをカストラートの
エヴァ様の所まで送り届けるよう命ずる。
近衛騎士団の団長には、私から話を通しておく。」
と言った。
リオンは、胸に拳を当てた敬礼をし、
「了解いたしました。
これよりリオン遊撃隊は、リーン王子を護衛し、カストラート王国に向かいます。」
と返事をした。

僕は、うつむいたままどう返事をしたらいいか迷っていた。
その時、アルベールの後の方に違和感を感じた!
目を凝らすと黒い影が視えた!
僕は思わず
「危ない!
伏せて!」
と叫び、近くに置いていたナイフをつかんで投げていた。
レールガンのレールをイメージしている時間がなかったので、自分の投てきの腕プラス念動力だ。
ナイフは、正確に影に吸い込まれ、
「ウ!・・・」
という呻き声が聞こえた。
すると、その他にも影が十数体現れた。
今度は、自分以外の人たちも気づいたようで、
エギル王子が
「何者だ!」
と叫んでいた。
影達は、だんだん実体化していき、姿を現した。
影達はみんな黒装束で頭には黒のターバンを巻いて、口元も覆っていた、
その中で、目だけがギラリと見えていた。
その姿は、中東あたりの暗殺者をイメージさせた。
「敵地で、姿を晒すなんてなんて大胆というかよほど自信がある連中だな?」
と僕は思った。
その中のナイフを右肩に受けた黒装束が、
「まさか・・・こんな子供に我らの術が見破られるとは・・・
まさかとは思うが我らの『爆撃機』を落としたのも貴様の仕業か?」
と、ぞっとするような冷淡な声で言ってきた。
「なんだその『爆撃機』とは?!」
という、エギル王子を無視して、じっと、僕を睨む。
僕は心の中で呟いた。
確かに「爆撃機」と言った!
この世界には「飛行機」すら存在しないのに・・・
まさか・・僕みたいに違う世界から転生した人がいるのか?!
すると、その黒装束は懐から「拳銃」を取り出し、僕に向けた!
僕は心の中で叫んでいた。
「け・・拳銃!
でも自動拳銃ではなく回転式のリボルバーだ」
などと思った瞬間、僕は誰かに抱きかかえられて、風の様に横に移動していた。
首を捻らせて抱えた人物を確認すると、リオン先生だった。
リオン先生は、僕を抱える直前にダガーを投げていた。
ダガーは狙い違わず、拳銃を構えた黒装束の胸元に当たるはずだったが、
相手は、すかさず、体を捻ってよけていた。
だが、ダガーは相手を通り過ぎた後、後方で弧を描き、まるでブーメランのように
帰ってきて、相手の背中に突き刺さった。
(風の魔法で投げたダガーの方向を変化させたようだ)
それを見ていたアルベールが叫んだ。
「リオン!
第三、第四王子と王妃達を連れてここから離れよ!
ここは、兄と私達(摂政と側近数名)が引き受けた!」
と言ってきた。
リオンは、
「分かりました。
さ!王妃様方!私の後に続いてください!
マリアンヌ!そこにいるな!」
「はい!隊長!」
「私が先導するからお前はしんがりを務めよ!」
「了解です!」
すると、リオンを含めた一団が黒い影に包まれる。
マリアンヌが、
「皆様!
敵に探知されにくい魔法を掛けました!
周りの方々も認識しずらくなりますので、手をつないで、離れないようにして
ください!」
と叫んだ!
僕らは、瓦礫の山をリオンの魔法で一機に降り、城壁に近衛師団詰所に向かってかけだした。
城跡の瓦礫の山では剣同士がぶつかりあう音と魔法の大音響が聞こえてくる。
第一、第二王子や側近は、かなりな手練れだと聞いていたから大丈夫だとは思うが・・・
どうも、先ほどの爆撃機や拳銃といった、この世界には無かったものが出てきているのが気がかりだった。
近衛騎士団詰所にたどりつくと、そこは野戦病院と化していた。
所々からうめき声が聞こえてくる。
リオンは、
「大隊長!
大隊長はいませんか!」
と叫んだ!
すると、奥の方から大柄な濃い緑色の髪の男性が返事をした。
(ここには、常に近衛騎士団の大隊長四名の内、一名が必ず詰めている)
「リオンか!
無事だったか!
陛下の寝室に同行していたはずだが、陛下や王子達はどうした!」
と言ってきた。
リオンは、
「それですが、今、敵の奇襲を受けて、王子達が応戦中です!
私は、王妃様達を避難させる為に、離脱しました!
ただちに、援軍を送ってください!」
を叫び返した。
大隊長は、
「解った!
おい!ヴァレリ!お前の小隊とここから、集めらるだけ集めてただちに援護に迎え!」
と近くにいたリオンの友人で小隊長のヴァレリに命令した。
ヴァレリは、
「了解しました!
おい!ここで動けるものは、私に従って王子達を援護だ!」
と手を挙げて叫んだ。
「ザ!」
と音を立てて、数十人が立ち上がり、ヴェレリに続いて、駆け足で移動しはじめた。
後には、大隊長とけが人と、看護師や医師だけが残っている。
大隊長は、リオンに近づくと、
「今さっき、伝令で国境付近に北の『ウルク帝国』の大軍が現れて、
我が方の国境警備隊と戦闘状態に入ったとの連絡を受けた。
近衛騎士団のドラグーン隊は、未確認飛行物体と交戦後、消息不明だ。
恐らく、生きてはいまい・・・
残りの近衛騎士団は、城の警戒待機だが、他の騎士団は、地震騎士団の『ベルク砦』に招集がかかっている。」
と言ってきた。

僕たちは驚いた。
そして、大隊長は、王妃達に向きなおり、
「王妃様方には、ここから一番近く安全と思われる我が風雷騎士団の『アイルゼン砦』
へ避難されますようお願いいたします。
私も王子たちの援護に参加後、騎士団の編成に『アイルゼン砦』向います。
リオン!
王妃様達の護衛と案内を任せるぞ!」
と、言うと詰所から出ていこうとする。
リオンは、あわててその後ろ姿に声をかけ
「大隊長!
私も王子達の援護に参加したいのですが!」
と言ったが、大隊長は
「馬鹿者!
今、人出が足りない中、できるだけの増援をしたばかりだ!
王妃様達の護衛が一人もいない状態にはできない!
お前の隊は王妃様達を護衛して、『アイルゼン砦』に迎え!」
と命令した。
リオンは、苦渋の表情を浮かべたが、思い直し、敬礼し
「了解しました。
リオン遊撃隊は、王妃様方を護衛し、『アイルゼン砦』に向かいます。」
と返答した。
大隊長はそれを確認し、頷くと、王妃達に会釈をし、足早に城の方へ駈け出した。
リオンは、王妃達に振り返ると、
「皆様、これから『アイルゼン砦』までご案内しますが、
我が隊の他の隊員が招集可能か確認してから向かいます。
今しばらくお待ちください。」
と言い、マリアンヌに顔を向けると、
「マリアンヌ!
他の隊員は無事なのか?
招集できそうか?」
と聞いてきた。
マリアンヌは、
「無傷なのは、私だけのようでした。
戦闘に参加可能かどうかは確かめられませんでしたが・・・
確認にメアリ宮に向いますか?」
と逆に聞いてきた。