自作お題小説『甘』
ショートケーキ
何の変哲もない日。
特に意味も無く買ってみたケーキ。
君はひどく喜んで、夕食の後にその箱を取り出してくる。
「ねぇねぇ。どっちがいい?」
箱の中にはショートケーキとチーズケーキ。
「どっちでもいいよ。」
俺がそう言うと君は、ものすごく悩みだして数分。
「よしっ。」
そう言って白いショートケーキを取り出した。
「こっちがいい〜。」
嬉しそうに食べ始めた君。
俺は最初から知ってたよ。
君がそっちを選ぶ事。
だって…生クリーム大好きだろう?
「あ〜ん。」
君が口を開けて俺を見てくる。
「……はいはい。」
俺は笑って手元のチーズケーキを一口君の口に入れた。
「ん〜、おいしいねっ。」
ほっぺを押さえた君。
何だか俺も幸せな気分になった。
何の変哲もない日。
特に意味も無く買ってきたケーキ。
それで君のこんな顔が見れるなら……
また買ってきてもいいな……
終わり 100412