自作お題小説『壊』
映らないテレビ
日曜日。
深夜三時。
明日は平日。
誰しもが仕事を前に
布団の中に入っている頃。
僕は一人テレビの前に座り込んでいる。
テレビに映し出されているのは
眠った街の風景と眠気を誘う音楽。
ピーーーー…
機械的な音がテレビから流れて
その画面がカラフルな色で埋め尽くされた。
何も考えずにリモコンを取った僕は
別のチャンネルのボタンを押した。
何度も何度も指を動かすが
テレビから聞こえてくるのは
耳障りな雑音と、さっきの機械音。
普段は見たくも無い通販番組が
いくらでもやっているのに
今日に限っては何も映し出してくれない。
「役に立たねぇな。」
呟いて手を止めた。
映りもしないテレビなら……いらない
君が僕を必要としていないなら……いらない
役に立たないテレビなら……捨てられる
君が僕を愛していないなら……捨てられる
テレビからは
無機質な機械音が
延々と鳴り響いていた………
終わり 08/10/27