小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

自作お題小説『壊』

INDEX|6ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

出てこない自動販売機

お金を入れて、お目当ての缶コーヒーのボタンを押す。

「あれ?」

いつもならゴトンという軽快な音がするのに
今日は何も音がしない。

取り出し口を覗いてみたが、やはりそこには何も無い。

「何だよ!くそっ!!」
思い切り蹴飛ばした。

それでも何も言わない自動販売機に
イライラしながら、そのまま帰途に着いた。

もちろんコーヒーは買えず終いだ。


望み通りのものが出ないなら……意味がない

「ったく…使えねーなー。」
呟いた後浮かんだお前の顔。

ピタリと足を止めて、首を捻る。


「何で……あいつの顔が……?」


暫く立ち尽くして、
何かに気付いた俺は走り出す。


さっきの自動販売機が……自分と重なった


俺はお前に何をしてあげている?

お前は何も言わないから……
いつも俺ばかりが我侭を言って……

望み通りのものが出ないなら……用はない

先刻のイライラが吹き飛んで、俺は走り続ける




「はぁっ、はぁ。」

肩で息をした俺を見て、お前は笑ってた。

「どうしたの?そんなに急いで?」

「俺……お前のこと…好きだから…ちゃんと……愛してるから!」

普段は言わない言葉

それを聞いたお前は……
今までに無い笑顔を浮かべた…

終わり  08/11/17
作品名:自作お題小説『壊』 作家名:雄麒