自作お題小説『壊』
鳴らない携帯電話
私は待つ…
ただひたすら待ち続ける
小さな画面を開いて…
ジッとそれを睨みつける
どうして……電話もしてくれないの?
どうして……メールも送ってくれないの?
淋しいのは……私だけ?
逢いたいのは……私だけ?
「っ!!」
いつまで待っても震えない携帯電話を、思い切り投げつけた。
鳴らないなら……いらない
あなたの声が届かないなら……用はない
私はベッドに倒れこんで、枕に顔を埋めた。
「バカ……。」
小さく呟いた言葉。
あなたに向けた言葉だったけど……
本当は気付いてる
本当にバカなのは……私
鳴らないのなら……
鳴らせばいいじゃない?
届かないのなら……
届ければいいじゃない?
だけど…
妙なプライドが邪魔をして
それをする事が出来ない……
あぁ……
本当にいらないわ……
鳴らない携帯電話も……
意味の無いプライドも……
終わり 08/11/27