自作お題小説『色』
黄緑色のお皿
こんなにちっぽけな俺だけど…
こんなに情けない俺だけど…
こんなに甲斐性のない俺だけど…
傍には変わらないもの…二つ…
常に一緒にいて…
常に隣にあった…
少ない給料で、細々とした生活には…
豪華な料理なんて程遠かった。
それでもお前は…
少しでも俺を喜ばせようと料理を作る。
家庭的なその料理は…
暖かいその料理は…
いつもの皿に盛られて俺の目の前に並んだ。
色鮮やかな皿に盛られた、色とりどりの料理。
二人で仲良くつついた。
笑いながら食した。
あの頃から…
俺は変われたのだろうか?
歳を重ねて…
経験を重ねて…
少しは…
変わったのだろうか?
それなりに大きくなった俺だけど…
それなりに立派になった俺だけど…
それなりに仕事の増えた俺だけど…
傍には変わらないもの…二つ…
常に一緒にいて…
常に隣にあった…
暖かい料理を作るお前と…
色鮮やかな黄緑色のお皿…
昔よりは少しだけ豪華になった
我が家の晩飯は…
変わらず黄緑のお皿の上に…
終わり 08/07/25