自作お題小説『色』
肌色の絆創膏
「いってえ〜。」
「何やってんだよ?ダッセぇ(笑)」
「うるせーなー。」
そんな声がして振り返ると、肘を擦りむいたあなた。
「あ…」
小さく声を漏らして差し出した手を引っ込める。
こんなの平気だよ いらねー
って言われるかな?
お節介だな うぜえ
って思われちゃうかな?
あなたにそんな事言われちゃったら、私どうしたらいいのか…
「あれ?それ絆創膏?」
あなたの友達の一人が、私の手の中を覗き込んで一言。
「あ…う…うん。」
おどおどしながら返事をした。
「調度いいじゃん、これちょうだい。」
スルリと私の手から抜けた絆創膏。
「お〜い、もらったぞ〜。これでも貼っとけよ。」
笑いながらあなたの元に戻っていく。
何だか嬉しくて…
幸せだった
「あのさ…」
後方でした声。
「は…はい!」
驚いて大きな声が出てしまう。
「ありがとな、コレ。」
あなたが肘に貼られた絆創膏を指差しながら、笑顔でそう言った。
「い…いえ…。」
多分…
今…私顔真っ赤だ…
「ひゅーひゅー」
あなたのそのまた後ろから、飛んできたヤジ。
あなたは小さな声で『サンキュー』と言って、また輪の中に戻っていった。
「うるせー!元はお前が悪いんだろー!」
大勢の中で笑うあなた…
その右肘に貼られた私の絆創膏…
この距離からは肌の色と同化して、よく見えないけど…
しっかり貼られている。
いつの日か…
その肌色の境目が判るくらい、傍にいれたらいいな…
いつの日か…
その肌色を私が貼ってあげられたらいいな…
終わり 08/08/03