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自作お題小説『色』

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(色)オレンジ色のあの娘


ここが…僕の特等席…
教室の後ろの窓際の席

ここから見える景色は…
最高に気持ちよくて…

全てが僕のものになったような気分

空も…
町も…
グラウンドも…


いつか…
僕にも出来るようになるのかな?
空を自由に飛び回り…
好きな町に出掛け…
グラウンドを思いきり走る事が…


元から体の弱かった僕は
外に出ることもままならず…
体育の授業もろくに参加出来ず

いつも…
乾いた部屋で外を見下ろしていた
家猫のように…
外に憧れて…
毎日窓の外ばかりを眺めてた…


「位置について…よ〜い…」
そんな声が聞こえて
その直後に乾いたピストルの音。
その音に合わせて走り出したその姿に、僕は目を奪われた…

前だけを見て…
ゴールだけを見て…
走り続ける姿が、僕の全てを奪って…

息を付くのも忘れるくらい見入ってた。


真剣な瞳…
整った息遣い…

君は太陽と一緒に走ってた…

ううん…
僕には君が太陽に見えた…


叶わない想いだと知っている…

はかない夢だと判ってる…

僕には…
君のように走ったり…
太陽の下で笑う事なんて…

出来やしないのに…


だから…
僕には眩しすぎたんだ…

太陽と共に走る君が…
太陽の下で笑う君が…

オレンジ色の君が…

終わり
作品名:自作お題小説『色』 作家名:雄麒