自作お題小説『色』
(色)すみれ色のリボン
とっても大好きな人
とっても大切な人
とっても大事な人
最初は友達だった
最初は恋人じゃなかった
最初はこんな関係じゃなかった
何だか少し恥ずかしくて…
友達には秘密の関係
妙に少し気まずくて…
皆の前ではちょっぴりギクシャク
「あははっ。」
教室の後ろの方。
君の笑い声。
友達と笑う君の長い髪が、サラリと揺れる。
後ろ一つに縛った髪に、桜色のリボン。
その淡い色合いのピンクが、君に良く似合ってる。
そういえば…
昨日は薄い黄色だったな…と思い出す。
「お待たせ。」
たまの休日。
君とのデート。
少し遅れた君が小走りで駆け寄ってくる。
揺れる髪には…すみれ色のリボン
僕の一番好きな色。
君に一番似合った色。
そういえば…
この間のデートも、このすみれ色のリボンだった気がする。
そういえば…
学校にいる間は、このすみれ色のリボンを付けていなかった気がする。
(あぁ…きっと…僕の為だけの色。)
そう思うと余計にその色が愛しく思える。
「似合ってるよ。」
何の脈絡もなく言ったら、君は少し驚いて僕を見る。
「そのリボン。」
そう言うと照れながら、えへへっと笑って『ありがと』と小さく呟いた。
真っ赤になった顔を、俯いて隠した君の…
長い紙を束ねる…すみれ色のリボン
その淡い紫は…
僕の目線のすぐ下に…
終わり