自作お題小説『色』
(色)ピンク色のセーラー服
「ふんふふ〜ん♪」
何やら隣の部屋から鼻歌のようなものが聞こえてくる。
(今日はやけに機嫌がいいな…)
そんな事を思いながら、ソファーで雑誌をペラペラ。
それほど興味のある内容なんかじゃなかったけど…
特にすることもなかったので、意味もなくペラペラ。
(ん…?)
あるページでふと手が止まる。
『セーラー服は勝負服』
そんな見出しで、可愛らしい女子高生が何人も載っていた。
(セーラー服が勝負服、ねー。)
セーラー服なんて…
どれくらい見ていないだろう…?
(大体うちの学校ブレザーだったし…)
さして興味も示さず、また手を動かす。
「じゃじゃーん♪」
そんなおかしな効果音と同時に、隣の部屋から飛び出して来たお前に…
「……………!」
絶句。
「どう?似合う?」
その場で一回転をしたお前のスカートがフワリとなまめかしく揺れる。
「何してんの?」
意外に冷静な自分にビックリ。
ピンク色のセーラー服を着たお前…
「買ってきた。」
ニコヤカ笑顔でそう言った。
そりゃぁそうだろう…
そんな色だし…
やけにスカート丈が短いし…
大体…高校の同級生なんだから、お前もブレザーのはず…
「………………で?」
冷めた口調でそう言った俺に、お前は頬を膨らませて…
「可愛くない?」
と、口を尖らせた。
「可愛いけど…」
「可愛いけど?」
身を乗り出して近づいてくる。
「あー可愛いよ。それでいいだろ?」
熱くなる顔を隠すように雑誌に目を向けた。
「何か含みのある言い方だなぁ。」
お前が不服そうな顔で、俺の隣に腰かけた。
雑誌の隙間から横目に盗み見ると…
飽きたのか、立ち上がってセーラー服を脱ごうとしているお前。
「脱いじゃうの?」
咄嗟に出た一言。
お前は目を丸くして驚いて、その後ニヤリと笑った。
セーラー服の裾を翻し、スキップ混じりでやってくる。
「な〜にぃ?やっぱ好きなんじゃ〜ん?」
その言葉に俺は『うるせー』と呟いた。
あー悪いかよ
素直に可愛いと思ったよ
でもな…
別にそんなの着なくても…
十分可愛い…なんて恥ずかしくて、言えるか!バカヤロウ…
終わり