自作お題小説『色』
(色)ショッキングピンクの傘
「あ、雨だ。」
クラスの中…
誰かがぽつりとつぶやくと、皆が皆一斉に窓の外を見る。
「傘持って来てないよー。」
「馬鹿だなー、朝の天気予報で降るって言ってたじゃーん。」
「今日遅刻ギリギリだったんだもん。」
口々に話すクラスメイト。
その小さな騒音を耳の奥で聞きながら、ぼんやりと窓の外を見つめる。
(来て…くれるかな?)
今日は確か…休みのはず…
『今日の午後の降水確率は80%です。出掛ける時は傘を忘れずに出掛けましょう。』
朝のニュース。
お天気お姉さんの言葉。
ちゃんと聞いたけど…
傘を持ってくるのをやめた。
試すようで少し気が引けるけど…
どうしても知りたいの…
あなたが私を見てくれてるのか…
心配してくれてるのか…
ねぇ…だからね…
迎えに来てほしいの…
私のショッキングピンクの傘を片手に…
あなたの紺の傘をさして…
あなたが迎えに来てくれたら
あなたの大きな傘に二人して入ろう?
そうしたら…
あなたは笑って言うの…
「ピンクの傘持ってきた意味ねーだろ?」って…
終わり