自作お題小説『別れ』
(別れ)二度と逢えないでしょうね
「……っ!!」
パシンと響く乾いた音。
左頬がヒリヒリ痛む。
お前は涙目で俺を睨みつけてくる。
泣きたいのはこっちだってのに……
「最っっ低!!」
お前の口から出た罵声。
俺は何も言わずにお前を見る。
「何よ!?言いたい事があれば言えばいいじゃない!!」
甲高い声でお前は泣き叫ぶ。
「お前が好きだ。」
飄々と言ってのけた俺の言葉に
お前はより一層睨みつけてくる。
「私の前に二度と現れないで!!」
捨て台詞を残してお前は去っていった。
「……っ!!」
伸ばした腕からお前がスルリと抜けた。
もう少し伸ばしたら届いていたかもしれないのに……
俺の中の何かがそれを止めた。
去っていくお前の後姿が遠くなる。
小さくなっていくお前の後姿
見えなくなるまで目で追った
愛しいお前の後姿
この目に焼き付けた
きっと…これが最後だから……
もう…お前には二度と逢えないでしょうから……
終わり
作品名:自作お題小説『別れ』 作家名:雄麒