自作お題小説『バカ』
(バカ)バカみたい…
煌めき出す街中…
色とりどりのイルミネーションの中…
足取り軽く歩く。
『ごめんな、イヴは仕事入っちゃって…』
一週間前の彼の言葉。
『それじゃぁ…しょうがないね。』
同時期…私の言葉。
だって…毎年の事だもん。
彼はとても忙しい。
(でも…少しくらいなら…)
スキップ混じり…
手作りケーキを持って…
いざ…彼の元へ…
煌き立つイルミネーション
赤と緑の光の中で見付けた見知った姿…
(え…?)
スーツなんて着てなくて…
奇麗な女の人と歩いてた…
満面の笑顔の彼を見て…
何だか全てがバカらしく思えた…
(結局…私は…遊びだった…?)
「ふふっ…バカみたい…。」
夜の公園。
ケーキと…
あなたへの想い…
まとめてくずかごに捨てた。
すれ違うカップル…
「あぁ…バカみたい…。」
もう一度口にした言葉は…
浮かれたカップルに向けたものなのか…?
嘘を付いた彼に向けたものなのか…?
一人ぼっちの自分に向けたものなのか…?
終わり Are You Happy Christmas?
作品名:自作お題小説『バカ』 作家名:雄麒