短編小説
旅立つ君へ
旅立つきみへ…
頑張れって言ってやるのが一番だと思って
その言葉を口にした
旅立とうとするキミへ…
本当に行くのかよ?なんて笑って
ちゃちゃを入れた
自分の言葉がやけに鼻について
自分の気持ちが追いついて来なくて
ひどく落ち込んだ
離れてしまう前に
より沢山の思い出を作っておくべきだ。と人は言う
どうせ離れてしまうなら
今の内に慣れておかなければ。と僕は思う
だって…そうすれば…
いざという時…悲しまなくて済むだろう?
今という時…苦しまなくていいだろう?
別に一生の別れだなんて思ってない
そんなの充分判ってる
だけど……気持ちが追いついてこないんだ
旅立つきみへ…
お願いがあるんだ
旅立つキミへ…
どうしても聞いておいてほしいんだ
どうか…何も気付かないで
たとえ…気付いても触れないで
その日が近づくたびに
うまく笑えなくなっても…
会える回数が減っていっても…
気付かない振りをしていて
一つだけ…
たった一つだけ言えるのは…
君が幸せであればそれでいい
だから…
たまに帰って来た時には
酒でも飲みながら
昔話でもしようじゃないか?
旅立つきみへ…
頑張れ
旅立つキミへ…
幸あれ
旅立つ君へ…
未来へ羽ばたけ
終わり