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短編小説

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三番目のオリ



がちゃっ カラン カラン


「いらっしゃいませ〜。」

  ほら……今日も来た………


いつも決まった時間に来る高校生。


俺はこの小さいペットショップのオーナー。



小さいながらにも近所では評判もよく、それなりに繁盛してると思う。
その為ほとんどの客が常連だった。

しかしこのところ、毎日のように来るこの高校生。


特に何かを買う訳でもなく……
最初は冷やかしか?なんて思った。

毎日飽きもせずガラス越しに猫を見ている。
しかも決まって右から三番目のオリにいる子猫だ。


 くりっとした大き目の瞳

 最近の子にしては珍しい黒髪が、肩にかかる程度に伸びている。
 化粧や指輪などといった金属類を、身に着けていないその自然な容姿。


子猫向ける笑顔が可愛くて……

   なんて………子供相手にこんな事思うなんて……
   俺はロリコンかっ!?

だけど……ついついその子が来るのを待っている自分がいる。




「お気に入りですね?」
いきなり声をかけたせいか、驚いてこちらを見ている。

「え……あのっ……ごめんなさいっ。」
大きくお辞儀をして、足元においてある鞄を取った。

「あっ!そういう意味じゃなくてっっ!!」
「えっ?」
見つめてくる瞳に、少しうろたえてしまう。



「何だったら、抱いてみる?」
笑顔で子猫を指差す。

「いいんですか?」
今まで泣きそうだった顔が、その一言で急に笑顔になる。


「こっち。」
そう言って店の奥へと案内する。

彼女は俺の後ろを少し離れて付いてくる。




「ちっ ちっ…おいで。」
猫を抱いてその子に渡す。

「うわぁ〜かわいい〜vvこの子名前はあるんですか?」

「無いよ。飼ってくれた人が付けるもんでしょ?」

「それもそうですね。」
そう笑った顔に、胸が鳴る。

「いいなぁ。家にもこんな子欲しい〜。」

「だめなの?親とか?」

「そうなんです。お母さんが猫アレルギーで……。」
しょぼんとした顔を見て、頭を撫でたくなる衝動を抑える。

「…っ。じ…じゃぁまたこうやって遊ばせてあげるよ。」
「本当ですかっ!?」
今まで子猫に釘付けだった瞳が、俺を見た瞬間………

子猫がするりと腕を抜け出した。
「わっ!こらっ。」
ちょこまかと逃げ回って、ついには机の隙間に入ってしまった。

「あちゃー。こいつ…ここに入ったらなかなか出て来ないんだよなぁ〜。」

猫じゃらしで誘ってみるも、軽く無視…

「あの……ごめんなさい……。」
さっきよりも肩を窄めている。

「いいよ。いつもの事だし(笑)」

再び猫に視線を落とした直後―――。

ふわっと甘い香りがした。
俺の横にちょこんと座り込んで笑う。

びっくりして見ていると、細い指先が猫に伸びて………

「おいで………。」

柔らかく宥めるように言った。


そんなんで出てくるなら苦労しないわ………
何て思ったのに、猫はすんなり出てきて、ちゃっかり膝の上。

  俺の立場は………(泣)



その後も彼女の視線は、全部猫に持ってかれて………


  ってこれじゃぁ、俺…猫に焼きもち焼いてるみたいじゃん!?

  なっさけねぇなぁ………(凹)





散々戯れた猫は疲れて眠った。

起こさないようにそっと猫の傍を離れた彼女は、柔らかく微笑んで
「本当にありがとうございました。」
って………/////

軽くお辞儀をして、店を出ようとした。

見送る背中がピタッと止まって、ゆっくり振り返る。

「あの………また……来てもいいですか?」
遠慮がちに聞いてきた彼女に、俺は笑顔で答える。

「もちろん。」

それを聞いて、満面の笑顔で店を出て行った。



  あぁ〜もう……可愛いじゃねーか/////

  何か……もう……俺、ロリコンでも何でもいいや。


  明日……

  明日…彼女が来たら………

  名前でも聞いてみようっっ!!


終わり
作品名:短編小説 作家名:雄麒