短編小説
諦恋心中・包恋心中
「一回死ねば？」
目に涙を溜めて言い放った。
俺は必死で謝って
土下座までする始末。
若気の至りでした
「お願いだから、死んで。」
ため息を付きながら当然の如し言った。
俺は必死で謝って
泣きながら懇願した。
もう二度としないと誓った。
「殺してあげようか？」
にっこり微笑んで恐ろしい事を言ってのけた。
俺は必死で謝って
思いの丈を全て明かした。
お前が一番だと。
「一緒に死のうか？」
空ろな目で包丁を握り締めて言った。
俺は愕然として
言葉が出てこなかった。
こんなに思い詰めていたのか、と。
「あなたを殺して、私も死ぬわ。」
自嘲気味に笑って……
その笑いのせいなのか何なのかは分からないが
小さく震えていた。
俺は両手を広げて、笑顔を向けた。
それしか思い浮かばなかった。
真面目で…
明るくて…
優しかったお前が
こうなったのは全て俺のせい。
嘘を付いて…
別の女とデートして…
だけど……
これだけは本当だから
『俺の帰ってくる場所はここだった。』
お前の想い…受け止めてあげる
お前の苦しみ…解消してあげる
俺が受け止めるから…
お前の心も…
お前の体も…
お前の握っている凶器でさえも
全て…受け止めるから…
安心してこの胸に飛び込んで来い
『さぁ……殺してくれ。』
終わり