短編小説
楽園へ行こう
ねぇ…ちゃんと見ててね
私の最期…ちゃんと見届けてね
「何してんだよ?」
どうして震えてるの?
私今から楽園に行くのよ
そこは楽しくて…
幸せで…
何よりあなたがいるわ
目の前のあなたは偽物よね?
だってあなたは楽園にいるはずだもの
楽園で私を待っててくれるはずだもの
「やめてくれっお前がいなくなったら俺はどうすればいいんだ?」
どうして泣いてるの?
残念だけど私はあなたを愛してないわ
あの人に似てるけどあの人じゃないわ
私の愛したあの人はあなたじゃないの
ごめんなさいね
「俺が悪かったから、もう二度としないから。お前だけを愛すると誓うからっ!」
どうして謝るの?
あなた私の何なの?
恋人ぶるのはやめて下さらない?
私の恋人はあの人だけよ
私が愛するのは生涯あの人だけよ
「お願いだからっ…俺を置いて行かないで…」
どうしてそんな事言うの?
おかしな人ねどうして震えてるの?
どうして泣いてるの?
どうして謝るの?
どうしてそんな事言うの?
私は行かなきゃいけないの
待っている人がいるんだもの
私そろそろ行くわね
あの人の待つ楽園へ
申し訳ないけど…見ててね
あの人に似たあなた
私の最期…見届けてね
私が愛した人
終わり