短編小説
君への疑問
「俺のどこが好き?」
ある日の昼下がり、突然の質問。
「は?」
君は眉間に皺を寄せて睨んでくる。
「だから…俺のどこが好き?」
俺はたじろぎながらも同じ質問を繰り返す。
「いきなり何言ってんの?頭でも打った?」
少し男勝りな君。出てくる言葉は常に毒を帯びている。
「いや……俺なんかのどこがいいのかなぁって…。」
弱気な俺の懸命の質問。
「う〜ん。」
君は頭を捻って考えてくれているようだ。
俺はドキドキしながら答えを待った。
俺はワクワクしながら返事を期待した。
「男にしては弱っちいし…ガタイもそんなに立派じゃない。
女々しいし…涙もろいし…頼りないし…んでもって何よりヘタレだし?」
君があまりにもハッキリ言うから、俺の心はズタボロです。
「でもまぁ…いざとなったら意外としっかりしてるし、別にそのままでもいいんじゃん?」
そっぽを向いた君の後姿。耳が少し赤いのは気のせい?
「でも……こんな俺じゃ、駄目だよな……。」
そう言う自分。我ながら何て女々しいんだ。
「でも……あんただから。」
振り返った君。顔を上げる俺。見つめ合うことしばし。
「弱くても、ヒョロくても、頼りなくても、ヘタレでも……
それがあんただから。全部ひっくるめてあんただから。」
君の言葉に、不覚にも涙が溢れた。
「何泣いてんのよ?もうバカじゃないの?」
君が洋服の袖で涙を拭ってくれる。
「俺もっ!!俺も全部好きっっ!!」
泣きながら、涙を拭いてもらいながら、精一杯君に伝える。
「わかったってばっ!!いいから泣き止めっっ!!」
力強く頬を擦られ、ヒリヒリ痛かった。
さっきの言葉……
本当に本当だよ……
君の全部が好きだから……
冷ややかな顔でバカにする君も……
ちょっと男勝りな性格も……
こんな俺の隣に居てくれる君も……
全部ひっくるめて君だから………
全部俺の好きな君だから……
終わり