キャンドルで君が脱ぐ
約束の2連休は12月10日にとれた。
ルミもその日に合わせて休みをとった。社内で僕らが付き合っているのは誰も知らない。
まだ付き合って3ヶ月しか経ってなかったからなのか、どうでもいいことだからなのか・・・。
クリスマス商戦の真っ只中の亡繁期なのだが、僕らだってクリスマスを楽しみたかった。
多分、それ以降は年末まで休みが取れないだろうから、案外あっさりと許可はもらえた。
JRの在来線を乗り換え、異国情緒を携えたハウステンボス駅に到着したのは午後の2時だった。駅前からのプロムナードは、そのままパークへと続いている。入場口の前にある大きなレンガ造りのようなホテルが、今日の予約したホテルだった。
なるほど海外にありそうなホテルだ。最頂部は三角の屋根の形をしていてヨーロッパの雰囲気を醸し出していた。
ホテルの中心にあるロビーに足を踏み入れると、大きな吹き抜けのカフェラウンジが広がっていた。海側一杯に広がる大きなガラスの向こうには船を係留した桟橋や、オレンジ色の瓦でデザインされたヨーロッパのような住宅が綺麗に並んでいるのが見える。
どれもおもちゃのような三角屋根を頭に抱え、グリーンの横板の壁と、白い窓枠を設けデザインされていた。似てるようで似てない個性的なかわいい家が運河の向こうに並んで見えた。
チェツクインした僕らの部屋は14階だった。
バルコニーからはテーマパーク中が見渡せる。
入り組んだ運河に沿って花の公園やオランダ風の町並みが見え、そして内海である波のない大村湾が広々と横たわっていた。下を覗き込むと、先ほどのクリスマスのミニチュア風の住宅が綺麗に並んでいるのが見えた。
運河に沿って並ぶ住宅は誰かが住んでるらしい。イルミネーションを付けたり、係留した船にリーセントや電飾の飾りをつけてクリスマスの雰囲気を演出していて、なるほど海外に来たかのようだ。
作品名:キャンドルで君が脱ぐ 作家名:海野ごはん